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アヌ・タリの第九



アヌ・タリ、エストニア出身の指揮者。

毎年恒例の第9ですが、誰のものを聴きに行くかが考え処でもあります。
今年は、このアヌ・タリです。会場は、オーチャードホール。看板に満員御礼の札が貼られていました。

第1楽章
速めのテンポですが、ここぞという気迫は唸らされるものがあります。細部にまで神経を通わせながら、全体を失うことが無い・・・かのシューリヒトの演奏に通ずる部分があります。大変リズム感の良い指揮をする人で、裏拍を巧みにコントロールして緊迫感を創出する辺り、只者ではありません。音楽がそこで生れたような新鮮さ、その精悍な指揮振りも相俟って、聴く者に忘れ難い印象を与えます。楽団員も一丸となって、アヌ・タリの指揮に応えています。響きの背後の静けさ・・・常に作品の魂を追って止まない、その姿勢は何より感動的です。

第2楽章
思い切りのよい実に躍動的なスケルツォ。響きが厚く充実しているのは、瞠目に値します。ストレートで真摯な入魂の演奏に、ふと最近の演奏家が失ってしまったものを感じました。

第3楽章
アヌ・タリは指揮棒を置き、両手で音楽を愛しむ様に指揮を進めていきます。弦の美しい調べは、恰もミューズ降臨といった風情で心に響きます。場面の描き分け、立体的な構成、聴く者を飽きさせることがありません。楽章終盤で、アヌ・タリは再び指揮棒を手にし、最終楽章へと向かいます。

第4楽章
オケもソリストも合唱も、素晴らしい高揚を聴かせます。底流には透明な厳しさがあり、一時の感情に流されることがありません。圧倒的に充実した、只管音楽だけを感じさせる指揮振りに本当に目頭が熱くなりました。合唱指揮者は置かず、アヌ・タリが兼務した模様です。終演後の舞台に、合唱指揮者は姿を現しませんでした。コンサートに同行した友人に拠れば、エストニアは合唱も盛んな国なので、アヌ・タリも合唱指揮の心得があるのでしょう。

期待を大きく上廻る、実に見事な第九でした。
この指揮者からは、もう目が離せませんね。美人だからではないですよ。(笑)

今度はマーラーの「復活」辺り、指揮してくれませんかね!


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