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J.S.バッハ・無伴奏ソナタとパルティータ


J.S.バッハ・無伴奏ソナタとパルティータ

クリスチャン・フェラス(ヴァイオリン)

Ages Records AGES509008-2
CD・録音:1977年12月21日・ステレオ



この演奏・・・何かを求め続ける、希求の響きに満ちています。
フェラスは、自らの存在意義をバッハに問うているのでしょうか・・・?

闇を切り裂く第一音。

静寂からフェラスの心の叫びが聴こえてくるかの様です。


何という美音!剃刀のような感性。

狂おしいほどに、美しいバッハ。

そのディミニュエンドの妙。


終始、フェラスは前のめりで、ただ只管に音楽を進めていきます。
しかし、テンポや旋律の歌わせ方には、強かにコントーロールが効いています。


この集中度、慄き、慟哭の響き!

そそり立つ断崖、深い淵・・・畏怖すら感じさせる世界。

そして、あまりにも美しく、時に夢の様に儚く響くのです。



まだ、これからという時に、何故か死に急いでしまった不世出のヴァイオリニスト。

1975年以降、フェラスは極度のストレスから酒に溺れ隠遁生活に入っていたのですが、このバッハは、その時期44歳の録音。その後、1982年、カムバックしてパリで盟友バルビゼと共演し大きな成功を収めるのですが、程なくして彼は49歳の若さで自殺してしまうのです。

この演奏を聴くと、既にその暗示的なものがある様な気もします。

生きていてくれたら、もっともっと名演を残してくれたでしょうに。
是非、コンサートで聴きたかった・・・!

この曲は、深い精神性を持ったシゲティ、厳しく端正なミルシティン、バランスの取れたシェリング等々名演がいくつもありますが、優美なフランス・エスプリの中に希求の響きを封じ込めた、怖いほどに美しい、このフェラスの演奏も私の大切な愛聴盤となりました。

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コメント

No title

狂おしいほど・・・・そんなに美しいなんて・・・

No title

聴いてくださいましたか・・・嬉しいです。 「ヴァイオリン(ストラド)とフェラスだけしかこの世に存在しないかのような演奏」だなぁと再び思っています。この演奏には底知れぬ孤独と、楽器としか会話ができない男のヴァイオリンへの寂しすぎる愛があります。

No title

ぴーこさん、本当に胸に迫る美しさです。フェラスがヴァイオリンに籠めたこの想いは、一度聴いたら忘れられません。

No title

bqv10353さん、この演奏をご紹介下さって有難うございます。闇の中で叫んでいるような孤独感、しかし、音色は無類の美しさ。この危険な喪失感とでも言いましょうか・・・本当に釘付けになる演奏ですね。

No title

不運な人でした。バルビゼとのグラモフォン盤にも名演があります。シューマンのソナタ、そして何と言っても、極めつけのルクーのソナタです。 美音がたっぷり記録されています。日本盤でCD化されましたが、今では忘れられています。ルクーの美音はグリュミオー以上かと・・

No title

カワサキヤさん、ルクーはボベスコの演奏しか聴いたことがありません~フェラス盤を探してみます。フェラスの音色は絹の光沢で・・・闇と光が同居している様な危険な美しさですね。グリュミオーは常心の大家ですが、フェラスは常心ではない大家と思います。

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