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ヨッフムのモーツァルト”ジュピター”


モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽KV477
モーツァルト:交響曲第41番KV551
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73

オイゲン・ヨッフム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Altus ALT072/3
CD・ステレオ・録音:1981年9月20日、ムジークフェライン・ザール、ウィーン、ライブ


ベームの追悼演奏会・・・

フリーメイソンは、亡きベームへの音楽による哀悼の辞。沈み込む様な深みのある演奏で、この世のものとも思われない木管の響きが殊の外印象的です。

次の41番は、このアルバム中の圧巻。壮麗な超名演です!
ヨッフムがアムステルダム・コンセルトヘボウを振った33番(Altus ALT-015/6)も、それは見事な演奏でしたが、この41番も実に素晴らしい演奏です。オケは異なりますが、双方にヨッフム晩年のアイデンティティーがはっきりと刻まれています。

生き生きとしていながら、時に耽美的なまでの表情を聴かせます。それでいて造型は、決して崩れないのです。第1楽章61~62小節の絶妙なディミュニエンド!このディミュニエンドの妙は、全曲を通して鏤められ、パッセージ間を天衣無縫さながらに紡いでいきます。その甘美さと言ったら!121小節、何気ない木管の一呼吸にも巧さが光ります。随処に聴かれる旋律の対比表現~伏線の旋律提示から次の旋律への受け渡しや起承転結が巧みに、しかもさりげなく自然に行なわれる辺りは、本当に老練の業だと思います。

この演奏、全ての楽章が驚くべき高みに達しています。特に第2楽章は、演奏が悪いとダレて(飽きて)しまいますが、ここではその様なことが全くありません。例えば、91小節のヴァイオリンがpで奏される部分の味わい等、絶品と思います。ヨッフムがこの曲の素晴らしさを、心ゆくまで堪能させてくれるのです。

実に味わいの深い熟成された音楽が鳴り響きます。細部に様々な表情が付けられているのですが、全く厭味になりません。スタイルとしては古風なところ(例えば、第4楽章158小節で低弦にアクセントを付けつつグッとリタルタンドしてから、徐々にアッチェレランドを掛けていくやり方等)も感じられますが、一方では、随処に新たな発見があるのです。綿密に仕上げられた知情意のバランス感。

この曲をこの様に演奏することが可能だったとは!本来、この様に演奏すべきだったと思わしめる完成度の高さ!ウィーン・フィルがここまで指揮者の音楽を受け容れ、そして響きとして体現すること自体、そうそう体験出来る(聴ける)ものではないと思います。ウィーン・フィルとは縁が薄かったヨッフムですが、これだけの表現を成し遂げてしまう力量には本当に頭が下がります。

第4楽章・・・第1楽章から響き渡るどこまでも輝かしく、しなやかにして切れ味の良い弦、そしてこの第4楽章に至って・・・内部の燃焼度が尋常ではありません。堂々たるダイナミックスのコントロール。壮大・荘厳なフーガが展開、コーダも見事に決まっていて、真にジュピター(ローマ神話の主神)のイメージそのものではないでしょうか!

41番と言うと、クーベリック指揮/バイエルン放送響のライブ盤が個人的にベスト1だったのですが、このヨッフム盤を聴いてしまうと考えを変えざるを得ません。ヨッフム盤は、ハーモニーが厚くリジッドな感覚においてクレンペラーの解釈に近い部分がありますが、もっと柔軟で変幻自在な響きに溢れています。

この曲は、他にカザルス/マールボロ、クーベリック/バイエルン(スタジオ&ライブ)、シューリヒト/ウィーン・フィル&パリ・オペラ座、ワルター/コロンビア&ニューヨーク、クレンペラー/フィルハーモニア、フリッチャイ/ウィーン響、ヴェーグ/カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク、スィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン、ヴァンデルノート/パリ音楽院、シェルヘン/シャンゼリゼ、マーク/パドヴァ、等々・・・といろいろ聴いてきましたが、このヨッフム盤は中でも傑出した演奏だと思います。

ブラームス2番は、第1楽章の前半は興が乗らず、雰囲気が解れませんが、その後、次第に調子が出てきます。第4楽章コーダに至っては、流石と思わせる盛り上がりを見せ、圧倒的な中に全曲を締め括ります。

これもお薦め◎です。

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コメント

No title

ベームへの追悼演奏会でなかったら、あまりないないような組み合わせですね。
そういえば、最近はジュピターもあまり聴いていなかったかも..このところちょっと『浮気』が多くていけないです><

No title

あまでおさん、この追悼演奏会の指揮がヨッフムで良かったと、感謝したくなる演奏ですよ。『浮気』・・・ザンデルリンクのベト8もこのジュピターも、充分その価値があると思います(^^♪!

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