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若杉 弘のベートーヴェンとシューベルト

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92
 1. 第1楽章 Poco sostenuto-Vivace
 2. 第2楽章 Allegretto
 3. 第3楽章 Presto
 4. 第4楽章 Allegro con brio
 
シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 『未完成』D.759
 5. 第1楽章 Allegro Moderato
 6. 第2楽章 Andante con moto
 
若杉 弘(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団
 
CD・ステレオ
録音:1~4 2006年4月23日、Bunkamuraオーチャードホール
   :5~6 2007年12月13日、東京オペラシティコンサートホール、ライブ
 
コロムビア・タワーレコーズ
TPTW-1004
 

 
 
《ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92》

第1楽章
第一音は態とズラして奏させる往年の演奏系。冒頭で控えめに奏されるヴァイオリンも、その後の低弦のアタックとの対比を意図したものと知らされます。重厚な響きと清澄な響きの一体感が見事です。若杉は安定した足の運びで、音楽を進めていきます。自然体の中に深い思索の跡が伺え、曲の持つ素晴らしさを歪めることなく伝える技量には本当に頭が下がります。
 
第2楽章
細部まで神経を通わせながら決して繊細振ることなく、悲しみを抑えているので一層聴く者の涙を誘います。ここにも若杉が心血を注いだ響きが、確かに存在します。
 
第3楽章
各楽章に言えることですが、日本のオケとは異なる響き。どこか東欧のオケを髣髴とするものがあります。若杉の脳裏には、きっとドレスデンの響きがあったのでしょう。
西と東の伝統を融合し、更により高きものへの挑戦が若杉にはあったに違いありません。
 
第4楽章
クレンペラー張りに遅いテンポですが、クレンペラー同様に凭れることはありません。響きを鋭く彫琢しつつ常に落ち着いた展開で、音楽を優美に且つ圧倒的な充実度で締め括るのです。
 
 
《シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 『未完成』D.759》

第1楽章
充実した響きは相変わらずですが、時に抑え目に鳴らされる弦には諦念の美が感じられます。自然体でいて深い、非常に困難なことを成し遂げた驚異的な演奏と思います。
若杉の演奏を聴いていると、剣の達人や高僧のイメージがどこかあります。響きの背後にある静けさが、既に普通の演奏とは異なっているのです。
 
第2楽章
実に清澄な流れの中に無欲の境地・彼岸の美があります。激しい情念と冷徹さが同居したムラヴィンスキー盤とは対極にあるタイプの演奏ですが、得られる感銘の深さは同様です。
 
 
若杉の晩年の録音がこうして残されたことを、我々は感謝しなければなりません。もっとオケが良かったらと思うところもありますが、それを補って余りある素晴らしい音楽=再現芸術に只管感銘を受けます。
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コメント

No title

7番はクレンペラーで聴いていますが、クレンペラーで聴くと通常の速いテンポについていけなくなります^^

No title

ひろちんさん、クレンペラーのベト7は超弩級です!
遅いテンポでありながら、緊張感が終始持続するところが普通じゃありませんね。途轍もなく大きく、鋼鉄の様な意志の力が貫徹しています。

この若杉のベト7、そして未完成も本当に素晴らしいですよ♪

No title

おはようございます。若杉弘さんの往年のライヴがかなり出ているみたいですね。
Kapellさんが評価されるように、どれも水準の高い演奏を聞かせてくれるようで期待がもてます。しかし、残念なのはやはり日本のオケというところなんでしょうか。微妙に不安定なところがあり、真に音楽に酔わせてくれないというのが私の感想です。

No title

Junozaさん、若杉さんの往年のライブが出てくるのは有難いですね。
日本のオケも頑張ってはいるのですが、教えられた通りに鸚鵡返し的なところがあって(各奏者の技術やアンサンブルがイマイチで、弾ききれていないことも時折)、これがドレスデン等だったらさぞかしという想いは捨てきれません。
記事にも書きましたが、仰る様なこうしたオケの機能性や音楽性の不足からくる「微妙な不安定さ」を差し引いても、この演奏には非常に価値があると感じます。
少なくとも、ベートーヴェンやシューベルトの音楽を通して、若杉さんが何を言いたかったかがしっかりと伝わってくる、同曲で感銘を深く新たにした演奏であることは確かです♪

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