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シューリヒトのベートーヴェン「第9」 (その2)


 
・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調『合唱付き』Op.125
 
 アグネス・ギーベル(ソプラノ)
 マルガ・ヘフゲン(アルト)
 ラグナー・ウルフング(テノール)
 エドゥアルト・ヴォリッツ(バス)
 フランス国立放送合唱団
 ルネ・アリックス(合唱指揮)
 フランス国立放送管弦楽団
 カール・シューリヒト(指揮)
 
 録音時期:1965615
 録音場所:パリ、シャンゼリゼ劇場
 録音方式:ステレオ(アナログ/ライヴ)
 
 Altus ALT239/40
 
 
発売が早まったのか、HMVが余裕を見て発売日を載せたのか分かりませんが、23日には拙宅に到着しておりました。3週間も早く聴けるとは・・・幸せの限りです。
 
第1楽章
のっけから尋常なテンションではありません。鋭利な刃物の感性が、響きの空間を切り裁いていきます。シューリヒトは通常表面は淡々としているのですが、ここでは驚くほど思い切った表情で隈取をつけています。しかし、これが曲想からして必然なのです。楽曲の内奥に分け入っていく、その燃える様な精神の輝きをこれほどに実感させる演奏はないでしょう。木管の微笑みが、その炎に常心を見つめる花を添えています。
 
第2楽章
この楽章で、こんなに深みを感じたことは嘗てありませんでした。躍動と生成の中に、深遠すら感じさせる驚くべきスケルツォ。
 
第3楽章
もう、これは歌、歌、歌!! 驚くべきレガートの極地。天衣無縫の旋律の流れに陶酔させられます。俗っぽさが微塵もありません。シューリヒトの澄み渡った目を、心の目を何より感じさせます。音楽がここで生まれたかの様な新鮮さは瞠目に値します。
 
第4楽章
細部まで神経を通わせながら、全体を失わない。シューリヒトならではの至芸が展開します。ここではテンポ・ルバートが極めて効果的に且つ自然に行なわれており、真に音楽が生きて語りかけてきます。決して一時の感情に流されることなく、揺ぎ無い精神によってコントロールされているのです。シューリヒトの脳内には、高僧の如くα波が大量に出ている気が致します。独唱も合唱も集中度が高く、実に素晴らしい出来です。完璧な演奏とは、この演奏のことを言わずして何を言うのでしょうか。
 
まるでベートーヴェンがワープして来て、そこで指揮しているかの如きシューリヒトの洞察力。オケの縦の線が、多少斜めになるところも散見されますが、この演奏の価値を些かも失わせるものではありません。
 
旧盤のパリ音楽院との演奏と比べると、絶妙なタイミングでの各パート入りのコントロールでは旧盤が勝り、渾身に籠めた気迫と深みでは新盤が遥かに勝ると感じます。オリンピックの満点をマークした様な旧盤から、新盤は更に進んだ未知の世界が展開すると言って過言ではないと個人的には思っております。旧盤でシューリヒトが拘った部分を超えた、更なる本質に乾坤一擲の覚悟で挑んだのではないでしょうか。 良く聴けば、旧盤の決めが甘かった部分に気付きます。ベートーヴェンという作曲家の偉大さを更めて知らしめる、シューリヒトならではの直観力が光る超名演。
 
ベートーヴェンとシューリヒトのコラボ。
 
音質は心配された音の欠落もなく、鮮明なステレオです。仏DISQUES MONTAIGNE TCE8841で出ていたベートーヴェン第1の録音と同等かと思われます。
 
これは、本当にお薦め◎です!!
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コメント

No title

仏DISQUES MONTAIGNE の1番も相当テンションの高い演奏でしたが、9番もすごい演奏だと言うことですね。
ショッピングカートには入れてあるのですが。

No title

仏DISQUES MONTAIGNE の1番、冒頭を聴いただけで途轍もない演奏と分かりますね。
第9も、同様に途轍もない演奏です。
これは、是非お聴き下さい!♪

No title

シューリヒト第2段コメントですね!
コメントからかなり新鮮な演奏のように思えます。シューリヒトの時代はフルトヴェングラーがあまりにも表に出ていて、彼は影が薄かったようで、最近になってこうした名盤が発掘され良かったなと思います。

No title

Junozaさん、第2弾です。(^^
第9をこの様に今生まれた音楽の様に演奏するのは、至難の技だと思います。シューリヒトは、2次元の楽譜から3次元の音楽を、生きた音楽を再現出来る類稀な才能の持ち主と思います。
シューリヒトの芸風がフルトヴェングラーに比べて外連味がないことが、あまり表に出なかった理由ではないでしょうか。私はフルトヴェングラーも素晴らしいと感じますが、敬愛するのは断然シューリヒトの方です。

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