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マルティノンの「英雄」



1. ベートーヴェン : レオノーレ序曲 第3番 Op.72b
2. ベートーヴェン : 交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」
 
ジャン・マルティノン (指揮)
フランス国立放送管弦楽団
 
CD・ステレオ・録音: 1. 1969年3月12日、2. 1970年1月28日 / シャンゼリゼ劇場、ライブ
ラジオ・フランスのオリジナルテープより初CD化


マルティノンという指揮者は、フランス物しか振らない人かと思っておりました。
タワレコでこのCDを見掛け、英雄は同オケでシューリヒトの名演があるので、マルティノンはどうかなと興味をそそられ、即購入。

レオノーレ序曲:
のっけから深い陰影が印象的です。この指揮者は、オケのコントロールが実に巧いと感じました。頭で考えたイメージ=解釈をオケを操って具現~響きとする能力に非常に長けていると思われます。マルティノンが作曲家でもあったことが、表現力の豊かさを生んでいるのでしょう。

英雄交響曲:
第1楽章
冒頭から過度な思い入れを排した格調の高さがありますが、各パートが、そして各パッセージが実に雄弁に音楽を展開して行きます。マルティノン独自の解釈か、ティンパニが加えられている箇所が幾つかありますが、音楽のバランスを失することなく、効果的に響く辺りも並々ならぬセンスの良さを感じさせます。シューリヒトは、同楽章の演奏で、大空を滑空し、大地を俯瞰するが如き輝かしき高揚感をもって、ベートーヴェンの高潔・気高さを何より印象付けました。一方マルティノンは、苦悩を響きに滲ませつつも、果敢に更なる高みへと上り詰めていくベートーヴェンの姿を髣髴とさせます。
第2楽章
葬送行進曲のドラマが粛々と進んでいきます。奇を衒ったことはしないのですが、表現力が豊かで、陰影が濃いのです。マルティノンの棒の元、オケの楽員一人一人が一丸となって圧倒的な音楽芸術を再現していきます。渾身の感情移入を施しながら、格調高く、響きに深みを与える~マルティノンの魔法が聴かれます。
第3楽章
生き生きとした表現が印象的です。中間部のホルンは、クナッパーツブッシュほどではないですが、結構間を空けて奏するスタイル。古風という向きもありますが、曲想からするとこの方が楽しめるのではないでしょうか。
第4楽章
冒頭の一気呵成・勢い溢れる表現は、将にかくあるべしといった響きで、マルティノンの周到且つ面目躍如たるものと感じます。この先を弥が上にも期待させ、その期待は類まれな感銘へと導かれて行きます。考え尽くされた、実に味わいの濃い世界が躍動するのです。コーダも、アッチェレランドからリタルダンドが見事に決まって、興奮冷めやらぬ聴衆の熱気がひしひしと伝わってきます。

これは大変な名演と思います。今年の最後に、こうした演奏に巡り会えたのは幸せです。
年末第9の時期ですが(そう言う私も先週インバルの第9に行きました)、第3で年末も良いかもしれません。(笑)
録音も鮮明なステレオで、英雄が好きな方にはお薦め◎です!
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コメント

No title

エロイカは1,セル、2,ショルティ、3(特別枠)トスカニーニかな、もちろんフルトヴェングラーやクレンペラーも良い、素晴らしく良い^^

No title

エロイカは多士済々ですね。
フルトヴェングラーのウラニア盤と52年盤、クレンペラーの55年盤、クナッパーツブッシュのバイエルン放送響盤、等々痺れる演奏が目白押しですね。(^^

No title

『エロイカ』、私はケンペ/ベルリン・フィル盤(EMI、1959年)がちょっと好みでして‥‥低域の薄い録音ですが、英Testament盤は若干うまく補正しています。

マルティノンの非フランス音楽は、想像しにくいのですが、英Deccaにウィーン・フィルを振って入れた『悲愴』は人気盤だったかと思います。

さて…これからベートーヴェンの第九か第三を聴きましょうか‥‥でなければ、日曜に聴いた「佐村河内」が‘年末の交響曲’になったり‥‥^^;。

No title

へうたむさん、あけましておめでとうございます。

ケンペ/ベルリン・フィル盤(EMI、1959年)は未聴です。誠実で優しい人柄を感じさせる指揮者ですから、演奏は何となく想像出来ます。

マルティノンは、ウィーン・フィルで『悲愴』を入れているのですか。ベートーヴェンがここまで素晴らしいと、チャイコフスキーが人気盤になるのも、さもありなむです。

佐村河内の交響曲ですが、CDリッピング時ネットから楽曲データを取得すると、ズバリ作曲「新垣隆」となっているものがありました。(笑)

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