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ベートーヴェン・交響曲第3番「英雄」


ベートーヴェン・交響曲第3番「英雄」

ベートーヴェンの交響曲の中で、私が一番よく聴く大好きな曲です。
雄渾そのものの音楽!ナポレオンへの憧憬がかくも素晴らしい交響曲を生むとは、本当に驚きです。この創造力のパワーは、並大抵ではないですね。

しかし、当のナポレオンが皇帝に即位した為、激怒したベートーヴェンはナポレオンへの献呈辞が書いてある表紙を破りとったという逸話が有名ですが、ウィーン楽友教会に現存する浄書総譜にはその形跡がないとのこと。
表紙に書かれた「ボナパルト」という題名とナポレオンへの献呈辞をペンでかき消した上に「シンフォニア・エロイカ」と改題して、「ある英雄の想い出のために」と書き加えられているのです。

Sinfonia eroica,composta per festeggiare il sovvenire d’un grand’uomo


以下、楽章毎に私メの好きな演奏を挙げてみます。1~4は勝手に付けた順位です。

第1楽章

冒頭の和音アタック2回、実に気迫と閃きを感じます!・・・新たな世界の始まり、胸が高鳴る主題の展開。

苦悩、戦い、沈思、憧憬・・・様々な心象が、大きなうねりを持って眼前に立ち現れて来ます。やがて困難は克服され、輝かしい勝利・自由へと突き進んでいきます。

まるで大空を滑空するが如く、遮るもののない自由な空間が出現するのです。

創造主が遥かな高みから俯瞰する様に、雄大な楽想がどこまでも広がっていきます。
気高き精神の芸術・・・ベートーヴェンの真骨頂ですね。

1.シューリヒト指揮/フランス国立
2.フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(52年11月)
3.カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)
4.クナッパーツブッシュ指揮/バイエルン国立


第2楽章 葬送行進曲

真に魂を揺さぶられる音楽。この高揚感は尋常ではありません。クライマックスでホルンが雄々しく現れる部分は、何度聴いても深い感銘を受けます。
ブルックナーの交響曲第8番第1楽章にも、特に金管の旋律や扱いにこの曲の影響らしきものが感じられます。

1.カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)
2.朝比奈 隆 指揮/大阪フィル
3.フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(52年11月)
4.シューリヒト指揮/フランス国立


第3楽章

中間部のホルンが聴きものだと思います。全楽章中、比較的地味な楽章だけに、逆に指揮者の力量が問われる処でもあります。

1.クナッパーツブッシュ指揮/バイエルン放送
2.シューリヒト指揮/フランス国立
3.フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(52年11月)
4.カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)


第4楽章

雪崩れ込む様な開始から、ベートーヴェン流フーガの技法、自由な変奏曲形式で終楽章が生成されていきます。この生成のエネルギーは、無尽蔵に湧き出てくるかの様です。

この楽章、終結部をきっちり充実感を持って決め打ちするのが難しいのです。緩急自在でないと、うまく終わらない。私の聴いた範囲では、上手いのはシューリヒトを筆頭に、フルトヴェングラー(ウラニア盤)、カラヤンですね。シューリヒトはいつも決まりますが、フルトヴェングラーとて他の演奏では失敗しています。
ワルター、クナッパーツブッシュ、ギーレン、セル、クレンペラー、シェルヘン、ブッシュ、朝比奈 隆、マーク、ムラヴィンスキー、クリュイタンスと雖も、終結部は今一歩かと・・・。

1.シューリヒト指揮/パリ音楽院
2.シューリヒト指揮/フランス国立
3.カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)
4.フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(44年12月ウラニア盤)


総合的に考えて、個人的にはシューリヒト指揮/フランス国立がベスト1と思います。ステレオで音質もライブ感が豊かです。
シューリヒトのベートーヴェンは、一時の感情に流されない、実に気高く均整が取れたものです。立体的で味わいが濃く、休符にも重要な意味があることを悟らせてくれます。

1.シューリヒト指揮/フランス国立
2.フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(52年11月)
3.カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)
4.朝比奈 隆 指揮/大阪フィル

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コメント

No title

詳細な解説で素晴らしいですね。普段3番を殆ど手に取らない僕には勉強になります。シューリヒト&フランス国立管、見つけたら即買いデスね!

No title

jinさん、畏れ入ります・・・カラヤン/ベルリンフィル(73年11月)を失念していたので、急遽、上記に追加しました。尚、拙ブログの8月16日にも、シューリヒト&フランス国立管の記事が少々あります。

No title

シューリヒトのエロイカは、じつに気高く、端正です。聴き手は襟を正してこの精緻な建造物に対峙せねばなりません。しかし感情の嵐の中で、身も心も大揺れに揺さぶられたいときは、フルトヴェングラーのウラニアでしょう。フルトヴェングラーに失礼かもしれませんが、あの怒涛のうねりは、何と言っても魅力の塊です。ウラニアは協会盤を除けば、スイスのターラ・レーベルで出ているのが最良の音質だと思います。

No title

カワサキヤさん、私はシューリヒトのベートーヴェンに非常に研ぎ澄まされたもの、苦悩に打ち勝つ精神の輝きを感じます。フルトヴェングラー、ウラニアのエロイカ、手持ちはBAYER DACAPO盤です。TAHRAの方が鮮明な音なのですね。

No title

はじめまして。テスタメントから最近出ましたシューリヒトのベルリンフィル・ライブはお聴きになられましたか。こちらもかなり良いと思います。簡単な感想ですが、TBさせてもらいます。

No title

yymoonさん、はじめまして。ご訪問、有難うございます。TESTAMENT盤、即買いで持っております。以前にORIGINALSとLUCKEY BALLから出ていた演奏と同じですね。確かにかなり良いです・・・ただ、個人的には生き生きとしたフランス国立との演奏が好きです。尚、第1楽章冒頭の和音1回目の入りがズレるのが本当の演奏(ORIGINALS盤)で、TESTAMENT盤は編集して綺麗に揃えてあります。私もTBさせて頂きます。

No title

少々お時間を頂戴しましたが、ご紹介いただいたシューリヒト指揮/フランス国立を聴いてみました。私の印象としては、尻上がりに好調になっていく印象で、第3楽章、第4楽章が特にこの指揮者らしいノリの良さ、小気味良さが発揮されていたように思います。また、パリ音楽院との演奏がステレオ録音でないのは残念ですね。

No title

ハルコウさん、ご丁寧に有難うございます。
シューリヒト/フランス国立では、個人的には第1楽章の大空を滑空するが如きカタルシスと第4楽章の緩急の絶妙なバランス(特に終結部)が好みです。パリ音楽院との演奏は、もっと若々しく一気呵成ですね。ステレオが発見されることを祈りたいです。(^^

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