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マーラー・交響曲第6番「悲劇的」


マーラー・交響曲第6番イ短調「悲劇的」
ハインツ・ボンガルツ指揮/ライプツィヒ放送交響楽団
(WEITBLIK SSS0053-2)

ハインツ・ボンガルツ(1894-1978)は旧東独の指揮者ですが、録音に恵まれていない為、知らない方も多いかと思います。アーベントロート、コンヴィチュニー等と略同時期に活躍した指揮者です。

旧東独のマーラー指揮者と言うと、テンシュテットやケーゲルがまず頭に浮かびますが、このボンガルツもマーラーについて一家言ありました。ボンガルツはドレスデン・フィルの主席指揮者を長く務め、同オーケストラの名声を一躍高めた指揮界の重鎮でした。

マーラーの6番は異演盤を多く持っていますが、今までのところはノイマン指揮/チェコ・フィル(CANYON PCCCL-00304)の1995年1月の演奏が、その集中度に於いて最も印象的でした。

しかし、このボンガルツ盤を聴いて、更に新たな衝撃を受けました。この演奏は、只ならないものです!複雑なテクスチュアの細部まで神経を通わせつつ、テンポや音量のコントロールが見事に決まっているのです。

考え抜かれたドラマが粛々と進行するマーラー。殊更、力瘤を入れたところがありません。しかし、ここぞという場面では、エネルギーを思い切って炸裂させるのです。


分裂質の中に浮かぶシニカルで不吉な微笑、世紀末の淀んだ時間・空間に生き物のように蠢く旋律。様々な心象が音化されていく瞬間、それに釘付けになっている自分に気付く・・・。

アルマの主題がこれほどに深く、訴えを持って高らかに歌われた演奏を他に知りません。もう、ここを聴くだけで、居ても立ってもいられなくなります!必要とあらば内声部をレントゲンの様に浮かび上がらせたり、初めて聴く様な部分が頻出するのです。


どうしたら、こんな演奏が出来るのでしょうか?もっと、ボンガルツの演奏を聴いてみたいという衝動に駆られます。

この演奏は、決して奇を衒ったものではありません。アプローチとしてはオーソドックスだと思いますが、極めて高い次元でボンガルツがマーラーを再構築して見せてくれるのです。

この録音は1969年6月30日、ライプツィヒ・ベタニア教会での放送用スタジオ録音です。鮮明なステレオ録音で、教会の残響も美しいです。

最晩年、手兵ドレスデン・フィルとのベートーヴェン「エロイカ」やR.シュトラウス「ドン・ファン」の録音もあるので、是非、聴いてみたいと思っています。

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コメント

No title

ボンガルツという指揮者は知りませんでした。奇を衒わず、歌や内声部の強調があったりとは、非凡な演奏ですね。バーンスタインの濃厚なマーラーも好きですが、自然体のマーラーも楽しみたいと思っていたので、この盤はよさそうですね。

No title

arztさん、これは自然体であって非凡です。今まで求めていたものに、いきなり巡り会えた・・・想いです。マーラーは私の時代が来ると予言したそうですが、この演奏は真に今がマーラーの時代だと語っています。悲劇的が美しいと感じた、初めての演奏です。

No title

素晴らしいですね。とても興味深いです。 ノイマン&チェコ・フィルも聴いてみようと思っていたところですが、こちらもとても気になりますね♪

No title

jinさん、ノイマン/チェコフィルも表現は一見地味ですが、細部に至るまで彫琢されていて、深く且つ俊敏です。楽想・各声部が立体的に立ち上がり、真に交響的に鳴り響く様は圧倒的。この曲の持つ運命的なもの、世紀末の退廃美を見事な職人芸をもって体現しています。もう、これは両方聴くっきゃないです!(^^♪

No title

いやー、とうとうボンガルツの登場ですね。徳間音工が数年おきに再発するドイツ・シャルプラッテン(エテルナ)盤のなかに、昔はかならずボンガルツの「エグモントの音楽」が入っていたものです。懐かしい人です。峻厳たる音楽を奏でる東独の演奏家なかでも、とくべつな存在だっただけに、このマーラーは興味深い。さっそく聴きます。

No title

悲劇的は名盤が多いですね。わたしもまだまだ集めなければ!!私はマーラーはまずオーケストラの力量が十分でないと聴けません。

No title

カワサキヤさん、今、CDでボンガルツの演奏を聴けることを幸せに思います。手兵ドレスデン・フィルとのベートーヴェン「エロイカ」とR.シュトラウス「ドン・ファン」のCDも、早速、ネットで注文しました。ドヴォルザークの7番やブルックナーの6番も名演らしいですね。

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cwdnf332さん、確かにオケが非力だと曲にならないですね。しかし・・・色々聴いてみると夫々に解釈があって面白いです。

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心が苦しい時はクラッシクで癒されたいです・・・・今・・・まさに

No title

ぴ~こさん、先日の詩でも気になったのですが・・・何か辛いことがあったのですね?癒し系なら~純真無垢なモーツァルト・ピアノ協奏曲第9番、大自然の息吹ならシベリウス・交響曲第2は如何ですか? 詩は心の鏡・・・

No title

分かってくださる人がいるって嬉しい事です^^モーツァルトか・・・・ラフマニノフって映画で見てからちょっと興味があるのですが^^;

No title

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番でしたら、アシュケナージ(ピアノ)&ハイティンク指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団がお薦めです。

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