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バッハ・無伴奏チェロ組曲


バッハ・無伴奏チェロ組曲

チャバ・オンツァイ(チェロ)



この曲をこの様に演奏することは、非常に難しいことだと思います。

過去の大家がいくつもの名演を残していて、それらに及ぶことも至難の技です。


オンツァイのこの境地は、無我、無欲・・・恰も高僧や仙人がチェロを弾いているイメージと言えば良いでしょうか・・・。

驚くべきことに自己主張というものが感じられないのです。「曲をして語らしめる」~それを実践している、ありそうで滅多にない演奏だと思います。音楽を演奏する際には、主観が必ず入り込みます。しかし、客観がどうしても必要なのです。この演奏は、その主観と客観のバランス感が絶妙なのです。


大家の演奏は、そのアイデンティティーとしての解釈があります。カザルスならカザルスの、ロストロポーヴィッチならロストロポーヴィッチの、解釈・個性というものが演奏に色濃く反映されるものです。

無論、それはそれで見事です。


しかし、オンツァイは、ここに謂わば無為自然の解釈を施したのです。
ひとつの音符すら蔑ろにしない、無為自然の解釈。

今、この演奏はこの曲に新たな光を当てています。簡潔でいて深く、美しい自然と同化するような響き、趣き。
空気や水のような感覚で惹き込まれる、その何か、そこはかとない流れが、この演奏にはあるのです。

耳を澄ますと聴こえてくる自然からの啓示。いつまでも、こうして、ここに居たい・・・。

バッハはたったひとつのチェロという楽器で、精緻なゴシック建築を創造しました。
ここで・・・そのゴシック建築は、自然の中、水晶の様に透明な造りで現れて来ます。


この演奏は、以前、サントリー・ウイスキー「山崎」のCMに使われていたのですね。
サントリー宣伝担当の見識には頭が下がります。サントリーは水(自然)の重要さを訴えんが為に、この演奏を選んだのでしょう。


この演奏は非凡です。本当に素晴らしい!こういう演奏が可能であることを、私に教えてくれたのです。

チャバ・オンツァイに心から感謝します。


録音も素晴らしく、チェロの豊かな胴鳴りを伴う深々とした響きが、透明感を持って捉えられています。

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コメント

No title

すばらしい評論です!このCDは↑こう感じるべきだったんですね、聞き直してみます。ありがとうございました。

No title

キンコンさん、恐縮です。このCD、bqv10353さんのブログで教えて頂いたのです。本当に自然でありながら、細部まで彫琢されていますね。聴いていて、飽きないのです。

No title

普段、CDでクラシックを聴きつけていると、ほとんどの演奏家が亡くなってしまっていますので、ひたすらCDを探すしかないのですが オンツァイは現役のチェリストですので来日した際は生で聴きにいきたいですね!

No title

bqv10353さん、有難うございます。オンツァイが来日したら、絶対に聴きに行きましょう!同氏の他のCDも、まだまだ聴いてみたいです。

No title

ヨーヨーマのCDを持ってますが、素晴らしい曲ですね。^^なるほど、水に透ける光のような曲です。「バッハ」は「小川」ですから、水のように流れる曲を作りたかったかも知れませんね・・・。

No title

たかあきさん、私もなるほどです。一方、ベートーヴェンはバッハを小川(Bach)でなくて大海(Meer)だと言ったそうですね。ヨーヨー・マは、きっと聡明なイメージの演奏なのでしょう!

No title

クラッシックにはワインが合いそうですが・・・どうなのでしょうか?

No title

ぴこダチョフ(ぴ~こ)さん、その通りですね。友人にワイン・エキスパートがいるので、教えて貰おうと思っています。良いものがあったら、ここで紹介しますよ。

No title

楽しみにしてますね~!

No title

ぴこダチョフさん、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のイメージなら・・・「フランスだとソーテルヌ(貴腐ワイン)、値段はピンキリですが、そんなに高くないものもあります。ドイツ、カナダにはアイスワインがあり、最近はカナダものが手頃です。いずれのワインも冷蔵庫でかなり冷やして飲むといいです。」とのことでした。私も勉強になります(^^♪。

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